2022(2023)杭州アジア競技大会・個人総合決勝、1位の張博恒(ジャン・ボーホン)選手(中国)の演技です。
■ゆか

技順グループ
技と技の内容(通称など)難度組み合わせ加点
1前方伸身宙返り2回ひねりD
2+前方屈身2回宙返り
E0.2
3
ロンダート~
後方伸身宙返り3回半ひねり:ゴンザレス

E

4前方伸身宙返り2回半ひねり
E
5
ロンダート~
後方伸身宙返り2回ひねり

C

6

ロンダート~
後方伸身宙返り2回半ひねり

D

7
+前方伸身宙返りB0.1
8フェドルチェンコ:下向き(ロシアン)1080°転向C
9開脚座から伸腕屈身力十字倒立C
10
ロンダート~
後方伸身宙返り3回ひねり

D

Dスコア:6.1(E3 D3 C3 B1 CV:0.3)
Eスコア:8.400
得点:14.500
「前方伸身宙返り2回半ひねり」の着地姿勢が低くなるのは珍しいです。

■あん馬

技順グループ
技と技の内容(通称など)難度
1正交差1/4ひねり1ポメル上倒立経過、反対の腕で下ろして逆交差入れ支持:正交差(セア)倒立D
2逆交差1/4ひねり1ポメル上倒立経過、反対の腕で下ろして逆交差入れ支持:逆交差(セア)倒立C
3ショーン(メリーゴーランド)
両ポメル上で横向き正面支持から、1ポメル上で片腕支持上向き全(360°)転向して
両ポメル上での背面横向き支持を経て、両ポメル上での横向き正面支持
E
4D難度のコンバイン:1ポメル上で2フロップから下向き(ロシアン)180°転向
縦縦ループ→縦横ループ→下向き(ロシアン)180°転向
D
5ロス:下向き(ロシアン)360°転向3/3部分移動
D
6トン・フェイ:縦向き~縦向き支持
下向き正転向移動(馬端から両ポメルを越えて下向き(ロシアン)180°転向 )
D
7マジャール移動:縦向き旋回前移動3/3部分
1馬端~2ポメル~3あん部馬背~4ポメル~5馬端
D
8シバド移動:縦向き旋回後ろ移動3/3部分
1馬端~2ポメル~3あん部馬背~4ポメル~5馬端
D
9馬端馬背下向き(ロシアン)720°転向C
101ポメル上縦向き旋回(縦横ループ)倒立3/4(270°)ひねり3/3部分移動下り
D
Dスコア:5.9(E1 D7 C2)
Eスコア:8.700
得点:14.600
個人予選兼団体決勝でも5.9だったので「馬端馬背下向き(ロシアン)」は意図的に720°転向にしているのだと思います。
「ショーン」の片腕支持が終わった後の旋回の腰取りがあまり良くなかったのですが、この実施はとてもいいと思います。

■つり輪

技順グループ
技と技の内容(通称など)難度
1後方伸腕伸身逆上がり中水平支持:後転中水平支持E
2後方け上がり中水平支持E
3ジョナサン(屈身ヤマワキ):前方屈身2回宙返り懸垂D
4ヤマワキ:前方かかえ込み2回宙返り懸垂C
5後ろ振り上がり上水平支持D
6アザリアン(後転十字懸垂):後方伸腕伸身逆上がり十字懸垂D
7ホンマ十字懸垂:肩が輪の高さで前方屈身宙返り直接十字懸垂D
8I後ろ振り上がり倒立C
9
ほん転逆上がり倒立
後方車輪(ほん転逆上がり)倒立経過
C
B
10後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり下り:(新月面宙返り下り)
E
Dスコア:6.0(E3 D4 C3)
Eスコア:8.933
得点:14.933
冒頭の「ヤン・ミンヨン(E難度)」を抜いて「ほん転逆上がり倒立(C難度)」を入れた6.0の構成です。
屈身ヤマワキ~ヤマワキ後の「後ろ振り上がり上水平支持」がかなり良くなっていると思います。

■跳馬

ロペス:伸身カサマツ跳び(側転跳び1/4ひねり前方伸身宙返り1/2ひねり)2回ひねり
Dスコア:5.6
Eスコア:9.100
減点:0.1
得点:14.600
ロペスは相変わらず高さと空中姿勢が素晴らしいですが、着地でラインオーバーしてしまいました。

■平行棒

技順グループ
技と技の内容(通称など)難度
1シャルロ:棒下宙返り単棒縦向き倒立(静止1秒)E
2ベジェナル(単棒ヒーリー):単棒倒立から後ろ振り片腕支持1回ひねり支持
E
3リチャード:(アームディアミドフ)
前振り(腕支持)上がり片腕支持1回ひねり倒立
E
4後方車輪倒立:ケンモツC
5棒下宙返り倒立D
6前方開脚5/4宙返り開脚抜き腕支持:(爆弾カット)D
7
バブサー
倒立から振り下ろし懸垂前振り上がり開脚抜き、伸身かつ水平位で懸垂
E
8ティッペルト:倒立から伸膝で振り下ろし懸垂前振り上がり開脚抜き倒立D
9ヒーリー:後ろ振り片腕支持1回ひねり支持D
10前方かかえ込み宙返り1/2ひねり後方かかえ込み宙返り下りE
Dスコア:6.4(E5 D4 C1)
Eスコア:9.066
得点:15.466
「シャルロ~単棒ヒーリー」の実施が素晴らしいです。
アジア大会での張博恒選手の平行棒は素晴らしくこれからも安定して15.4を超えてくるとなると団体戦では脅威になりそうです。

■鉄棒

技順グループ
技と技の内容(通称など)難度組み合わせ加点
1アドラー1回ひねり両逆手倒立
前方浮腰回転振り出し1回ひねり両逆手倒立
E
2アドラー1/2ひねり倒立:前方浮腰回転振り出し1/2ひねり倒立
D
3+コールマン
バーを越えながら、後方かかえ込み2回宙返り1回ひねり懸垂
E0.2
4カッシーナ:伸身コールマン
バーを越えながら、後方伸身2回宙返り1回ひねり懸垂
G
5伸身トカチェフ:懸垂前振り伸身背面とび越し懸垂D
6倒立から後方浮腰回転後ろ振り出し順手背面懸垂C
7順手背面車輪:(チェコ式車輪)D
8ケステ:順手背面懸垂前振り上がり後方浮腰回転倒立C
9シュタルダー:後方開脚浮腰回転倒立B
10後方伸身2回宙返り2回ひねり下り:ワタナベ(伸身新月面宙返り下り)E
Dスコア:6.4(G1 E3 D3 C2 B1 CV:0.2)
Eスコア:8.800
得点:15.200
得点差があったためフル構成でやる必要はありませんでしたが、フル構成を見せてくれました。
「伸身トカチェフ」で足先をすってしまっていますが、張博恒選手の「伸身トカチェフ」は腰が真っすぐ伸びていて素晴らしい伸身姿勢なので仕方ないとも言いたくなります。
鉄棒の着地は乱れてしまうことが多かったのですが、この試合では着地をしっかりと止めて強さを見せてくれました。

合計Dスコア:36.4(ゆか6.1、あん馬5.9、つり輪6.0、跳馬5.6、平行棒6.4、鉄棒6.4)
合計Eスコア:52.999
減点:0.1
得点:89.299
自国開催でメンバー的にも優勝以外は絶対に許されない団体戦、実力的にも優勝以外は絶対許されない個人総合という状況でこれだけの演技が出来るのは本物のスーパースターだと思います。
Dスコアで見ればフル構成ではありませんが実施が素晴らしく平均Eスコアは8.833で得点は驚異の89.299でした。
ショーンの後処理、ロス〜トン・フェイのスムーズな動き、つり輪の力技、平行棒などかなり洗練されてきた印象を受けました。
自国開催ということもあり若干Eスコアが甘い種目があるようには感じましたが、素晴らしい6種目を見せくれたことに拍手を送りたいです。