2022全日本個人総合選手権、予選1位の橋本大輝選手の演技構成レポートです。
■跳馬
ロペス:伸身カサマツ跳び(側転跳び1/4ひねり前方伸身宙返り1/2ひねり)2回ひねり
Dスコア:5.6
Eスコア:9.200
減点:0.1
得点:14.700
高さがありひねり切りにも余裕がある実施でしたが片足でラインオーバーしました。

■平行棒
技順グループ
技と技の内容(通称など)難度
1後ろ振り(腕支持)上がり前方屈身宙返り支持(ホンマ、ソニック)D
2ヒーリー:後ろ振り片腕支持1回ひねり支持D
3棒下宙返り1/2ひねり倒立 ※落下後やり直しE
4棒下宙返り倒立D
5後方車輪倒立:ケンモツC
6前方開脚5/4宙返り開脚抜き腕支持(爆弾カット)
D
7バブサー
倒立から振り下ろし懸垂前振り上がり開脚抜き、
伸身かつ水平位で懸垂
E
8ティッペルト
倒立から伸膝で振り下ろし懸垂前振り上がり開脚抜き倒立
D
9前振り1/2ひねり倒立:ツイストC
10前方かかえ込み2回宙返り1/2ひねり下りE
Dスコア:6.1(E3 D5 C2)
Eスコア:7.166
得点:13.266
平行棒は2021年に実施していたのと同じ構成です。
「棒下宙返り1/2ひねり倒立」で落下がありました。
新しいルールでは「棒下宙返り1/2ひねり倒立」は手の握り替えを2回以内で捌くことが求められており、3回の握り替えが行われた実施は「棒下宙返り1/2ひねり倒立」ではなく「棒下宙返り1/4ひねり倒立」で判定されこの技は「棒下宙返り倒立」と同一技として認定されるようになりました。
橋本選手の実施はもともと手の握り替えをが2回以内で済んでいたので、そのルール変更への対応で生じたミスではないと思います。

落下後は立て直し、予定したDスコア6.1の構成を実施しました。

■鉄棒
技順グループ
技と技の内容(通称など)難度組み合わせ加点
1アドラー1/2ひねり倒立:前方浮腰回転振り出し1/2ひねり倒立D
2カッシーナ:伸身コールマン
バーを越えながら、後方伸身2回宙返り1回ひねり懸垂
G
3コールマン
バーを越えながら、後方かかえ込み2回宙返り1回ひねり懸垂
E
4伸身トカチェフ:懸垂前振り伸身背面とび越し懸垂
D
5+トカチェフ:懸垂前振り開脚背面とび越し懸垂
C0.1
6シュタルダーとび1回半ひねり片大逆手
後方開脚浮腰回転倒立とび1回半ひねり片大逆手
D
7アドラー1回ひねり両逆手倒立
前方浮腰回転振り出し1回ひねり両逆手倒立
E
8ヤマワキ(伸身コスミック):後ろ振り上がり伸身閉脚とび越し1/2ひねり懸垂C
9クースト:後方とび車輪1回ひねり(ホップターン)
C
10後方伸身2回宙返り2回ひねり下り:ワタナベ(伸身新月面宙返り下り)E
Dスコア:6.4(G1 E3 D3 C3 CV:0.1)
Eスコア:8.133
得点:14.533
報道されていた「リューキン(F難度):伸身トカチェフ1回ひねり」は回避しました。
「アドラー1/2ひねり倒立」から繋げて組み合わせ加点0.2を取ることを考えているそうですが、今回は
「アドラー1/2ひねり倒立」の倒立が横にそれてしまったため「リューキン」の実施はしなかったのだと思います。
しかし「シュタルダーとび1回半ひねり片大逆手」を新たに加えて6.4という高いDスコアを維持しています。

個人総合での鉄棒の完成形は以下のDスコア6.9の構成になると予想しています。
技順グループ
技と技の内容(通称など)難度組み合わせ加点
1アドラー1/2ひねり倒立:前方浮腰回転振り出し1/2ひねり倒立D
2+リューキン:懸垂前振り伸身背面とび越し1回ひねり懸垂F0.2
3カッシーナ:伸身コールマン
バーを越えながら、後方伸身2回宙返り1回ひねり懸垂
G
4コールマン
バーを越えながら、後方かかえ込み2回宙返り1回ひねり懸垂
E
5伸身トカチェフ:懸垂前振り伸身背面とび越し懸垂D
6+トカチェフ:懸垂前振り開脚背面とび越し懸垂C0.1
7シュタルダーとび1回半ひねり片大逆手
後方開脚浮腰回転倒立とび1回半ひねり片大逆手
D
8アドラー1回ひねり両逆手倒立
前方浮腰回転振り出し1回ひねり両逆手倒立
E
9クースト:後方とび車輪1回ひねり(ホップターン)
C
10後方伸身2回宙返り2回ひねり下り:ワタナベ(伸身新月面宙返り下り)E
Dスコア:6.9(G1 F1 E3 D3 C2 CV:0.3)

■ゆか
技順グループ
技と技の内容(通称など)難度組み合わせ加点
1
ロンダート~後転とび~
リ・ジョンソン:後方かかえ込み2回宙返り3回ひねり

G

2
ロンダート~後転とび~
後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり:新月面宙返り

E

3前方伸身宙返り1回ひねりC
4~前方伸身宙返り2回半ひねり
E
5
ロンダート~
後方伸身宙返り2回ひねり

C

6フェドルチェンコ:下向き(ロシアン)1080°転向C
7開脚座から伸腕屈身力十字倒立C
8
ロンダート~
後方伸身宙返り2回半ひねり

D

9+前方伸身宙返りB0.1
10
ロンダート~
後方伸身宙返り3回ひねり

D

Dスコア:6.0(G1 E2 D2 C4 B1 CV:0.1)
Eスコア:8.733
得点:14.733
冒頭の「リ・ジョンソン」の着地を決めて最高のスタートを切りました。
「前方伸身宙返り1回ひねり」からの「前方伸身宙返り2回半ひねり」では腰の位置が高い素晴らしい実施で着地をピタリと止めました。
今回から「フェドルチェンコ」を新たに実施しています。
「リ・ジョンソン」と「新月面宙返り」を加えて新ルールでも6.0の高いDスコアを維持しており、素晴らしい実施を見せてくれました。

■あん馬
技順グループ
技と技の内容(通称など)難度
1アイヒホルン
横向き開脚旋回1回ひねり移動(2回以内の旋回で逆馬端へ移動し再び戻る)
E
2横向き開脚旋回1回ひねり(2回以内の旋回で):横向き開脚旋回シュピンデル
D
3正交差(セア)倒立:正交差1/4ひねり1ポメル上倒立経過、反対の腕で下ろして正交差入れ支持
D
4E難度のフロップ:1ポメル上で4フロップ
横から横でシュテクリB→横縦ループ→縦横ループ→横から横でシュテクリB
E
5D難度のコンバイン:1ポメル上で2フロップから下向き(ロシアン)180°転向
横縦ループ→縦横ループ→下向き(ロシアン)180°転向
D
6ウ・グォニアン:下向き(ロシアン)720°転向3/3部分移動E
7ロス:下向き(ロシアン)360°転向3/3部分移動D
8開脚マジャール移動:縦向き開脚旋回前移動3/3部分(1馬端~3あん部馬背~5馬端)D
9開脚シバド移動:縦向き開脚旋回後ろ移動3/3部分(1馬端~3あん部馬背~5馬端)D
101ポメル上縦向き旋回(縦横ループ)倒立5/4(450°)ひねり3/3部分移動下り
E
Dスコア:6.4(E4 D6)
Eスコア:8.066
得点:14.466
交差倒立ですが逆交差だとC難度なので、D難度の正交差に変更してきました。
倒立時にポメルから片手が下りてしまいましたが堪えて演技を通しました。
新たに加えた「ウ・グォニアン」は良い実施でしたが、「ロス」の最後の方で少し詰まったような動きが見られヒヤッとしました。
開脚でのマジャールとシバドはD難度ですがそのまま実施しています。

■つり輪
技順グループ
技と技の内容(通称など)難度
1後ろ振り上がり中水平支持E
2ほん転逆上がり十字倒立E
3ジョナサン(屈身ヤマワキ):前方屈身2回宙返り懸垂D
4ヤマワキ:前方かかえ込み2回宙返り懸垂C
5ホンマ十字懸垂:肩が輪の高さで前方屈身宙返り直接十字懸垂D
6後方伸腕伸身逆上がり(後転)十字懸垂:アザリアンD
7ほん転逆上がり倒立C
8後ろ振り上がり倒立C
9後方車輪(ほん転逆上がり)倒立経過B
10後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり下り:(新月面宙返り下り)
E
Dスコア:5.8(E3 D3 C3 B1)
Eスコア:8.366
得点:14.166
ルール変更で難度がDからEへ格上げされた「ほん転逆上がり十字倒立」を取り入れました。
「ホンマ十字懸垂」と「アザリアン」の持ち込み時の肩の高さにも改善が見られかなりいい演技だったと思います。
着地をばっちりと決めて14点台をマークしました。

合計Dスコア:36.3(ゆか6.0、あん馬6.4、つり輪5.8、跳馬5.6、平行棒6.1、鉄棒6.4)
合計Eスコア:49.664
減点:0.1
得点:85.864
前半の3種目は少しリズムが良くないように見えましたが、後半3種目から怒涛の追い上げで一位で予選を通過しました。
新ルールになりDスコアは下がると予想していましたが、驚異の36.3の構成を組んできて橋本選手の体力と精神力にはいつも驚かされます。
まだまだ成長できる伸びしろを感じ、どこまで行くのかとても楽しみです。