体操ニッポン男子団体代表選手の注目ポイントのご紹介という記事です。
男子団体の代表は橋本大輝選手、萱和磨選手、谷川航選手、北園丈琉選手で注目種目や技を紹介していきたいと思います。
男子団体の予想される試合展開はこちらから。

・橋本大輝選手
daiki
個人総合で世界最高Dスコア37.1の構成も練習しているという日本のエースの呼び声も高い19歳の橋本大輝選手(順天堂大学)です。
注目種目はゆか、あん馬、跳馬、鉄棒です。
個人総合でのメダルも大いに期待できます。

■ゆか:種目別決勝に進出する可能性あり

技順グループ
技と技の内容(通称など)難度組み合わせ加点
1
ロンダート~後転とび~
リ・ジョンソン:後方かかえ込み2回宙返り3回ひねり

G

2前方伸身宙返り1回ひねり
C
3+前方伸身宙返り2回半ひねりE0.1
4
ロンダート~
後方伸身宙返り2回半ひねり

D

5+前方伸身宙返り2回ひねりD0.2
6
ロンダート~
後方伸身宙返り1回半ひねり

C

7〜前方伸身宙返り1回半ひねりC
8
ロンダート~
後方伸身宙返り2回ひねり

C

9開脚座から伸腕屈身力十字倒立C
10
ロンダート~
後方伸身宙返り3回ひねり

D

Dスコア:6.2(G1 E1 D3 C5 CV:0.3)
Eスコア:8.800
得点:15.000
ゆかはG難度の「リ・ジョンソン:後方かかえ込み2回宙返り3回ひねり」を取り入れた6.2の構成です。
「リ・ジョンソン」以外はすべての着地を狙いにいける強さがあります。
種目別決勝進出も狙えると思います。

■あん馬:種目別決勝でメダルを取る可能性あり

技順グループ
技と技の内容(通称など)難度
1アイヒホルン
横向き開脚旋回1回ひねり移動(2回以内の旋回で逆馬端へ移動し再び戻る)
E
2横向き開脚旋回1回ひねり(2回以内の旋回で):横向き開脚旋回シュピンデル
D
3逆交差(セア)倒立:逆交差1/4ひねり1ポメル上倒立経過、反対の腕で下ろして正交差入れ支持
D
4E難度のフロップ:1ポメル上で4フロップ
横から横でシュテクリB→横縦ループ→縦横ループ→横から横でシュテクリB
E
5D難度のコンバイン:1ポメル上で2フロップから下向き(ロシアン)180°転向
横縦ループ→縦横ループ→下向き(ロシアン)180°転向
D
6トン・フェイ:縦向き~横向き支持
下向き正転向移動:1馬端で縦向き~5馬端で横向き支持
ポメルまたはポメル間に着手なしで下向き(ロシアン)270°転向
D
7ロス:下向き(ロシアン)360°転向3/3部分移動D
8開脚マジャール移動:縦向き開脚旋回前移動3/3部分(1馬端~3あん部馬背~5馬端)E
9開脚シバド移動:縦向き開脚旋回後ろ移動3/3部分(1馬端~3あん部馬背~5馬端)E
101ポメル上縦向き旋回(縦横ループ)倒立5/4(450°)ひねり3/3部分移動下り
E
Dスコア:6.5(E5 D5)
Eスコア:8.750
得点:15.250
2021全日本種目別選手権の予選では「トン・フェイ」のところで「ウ・グォニアン(E)」を実施していたので、最大で6.6の構成を狙っていると予測します。
あん馬のDスコア6.5~6.6はオールラウンダーとしては最高レベルの値で団体戦はもちろん種目別決勝でのメダルも十分に狙えます。

■跳馬

ヨネクラ(ロペスハーフ):伸身カサマツ跳び(側転跳び1/4ひねり前方伸身宙返り1/2ひねり)2回半ひねり
Dスコア:6.0
Eスコア:9.233
得点:15.233
橋本大輝選手は身長166㎝と体操選手としては高身長ですが、この身長でヨネクラを跳べるというのは驚異的です。
団体金へ向けてチームを勢いつける跳躍に期待しています。


ロペス:伸身カサマツ跳び(側転跳び1/4ひねり前方伸身宙返り1/2ひねり)2回ひねり
Dスコア:5.6
Eスコア:9.533
得点:15.133
ロペスでは着地を狙いに行ける実施を期待できるのでどちらを跳ぶのかも注目ポイントになります。

■鉄棒:種目別決勝でメダルを取る可能性あり

技順グループ
技と技の内容(通称など)難度組み合わせ加点
1アドラー1/2ひねり倒立:前方浮腰回転振り出し1/2ひねり倒立D
2カッシーナ:伸身コールマン
バーを越えながら、後方伸身2回宙返り1回ひねり懸垂
G
3+コールマン
バーを越えながら、後方かかえ込み2回宙返り1回ひねり懸垂
E0.2
4伸身トカチェフ:懸垂前振り伸身背面とび越し懸垂
D
5+リンチ
懸垂前振り開脚背面とび越し1/2ひねり片大逆手懸垂後ろ振り上がり倒立
D0.2
6アドラー1回ひねり両逆手倒立
前方浮腰回転振り出し1回ひねり両逆手倒立
E
7ヤマワキ(伸身コスミック):後ろ振り上がり伸身閉脚とび越し1/2ひねり懸垂
D
8シュタルダー:後方開脚浮腰回転倒立B
9クースト:後方とび車輪1回ひねり(ホップターン)
C
10後方伸身2回宙返り2回ひねり下り:ワタナベ(伸身新月面宙返り下り)E
Dスコア:6.7(G1 E3 D4 C1 B1 CV:0.4)
Eスコア:8.433
得点:15.133
鉄棒は「カッシーナ+コールマン」を連続させたDスコア6.7の構成を実施することが出来ます。
種目別決勝に進出すれば内村航平選手はもちろんエプケ・ゾンダーランド選手(オランダ)と金メダルを狙える位置にいると言え、期待がかかります。

・萱和磨選手
kaya
「失敗しない男」こと24歳の萱和磨選手(セントラルスポーツ)です。
抜群の安定感が持ち味で2020全日本シニア選手権以降では2021全日本個人総合選手権の決勝鉄棒での失敗のみという驚異的にミスの少ない頼れる選手です。
注目種目はあん馬、平行棒です。

■あん馬:種目別決勝でメダルを取る可能性あり

技順グループ
技と技の内容(通称など)難度
1正交差1/4ひねり1ポメル上倒立経過、反対の腕で下ろして正交差入れ支持:正交差(セア)倒立 D
2逆交差1/4ひねり1ポメル上倒立経過、反対の腕で下ろして正交差入れ支持:逆交差(セア)倒立 D
3Ⅱ E難度のフロップ:1ポメル上で4フロップ
横から横でシュテクリB→横縦ループ→縦横ループ→横から横でシュテクリB
E
4D難度のコンバイン:1ポメル上で2フロップから下向き(ロシアン)180°転向
横縦ループ→縦横ループ→下向き(ロシアン)180°転向
D
5トン・フェイ:縦向き~横向き支持
下向き正転向移動:1馬端で縦向き~5馬端で横向き支持
ポメルまたはポメル間に着手なしで下向き(ロシアン)270°転向
D
6ウ・グォニアン:下向き(ロシアン)720°転向3/3部分移動E
7ロス:下向き(ロシアン)360°転向3/3部分移動D
8開脚マジャール移動:縦向き開脚旋回前移動3/3部分(1馬端~3あん部馬背~5馬端)E
9
開脚シバド移動:縦向き開脚旋回後ろ移動3/3部分(1馬端~3あん部馬背~5馬端)E
101ポメル上縦向き旋回(縦横ループ)倒立3/4(270°)ひねり3/3部分移動下り
D
Dスコア:6.4(E4 D6)
Eスコア:8.466
得点:14.866
団体戦のあん馬の最初の演技者は絶対に失敗しない萱和磨選手に務めていただきたいです。
世界的に見てもこれだけあん馬で失敗しない選手は異常と言えるほどに恐ろしくなるくらいに失敗をしません。
その安定感の裏には想像を絶する練習の積み重ねが見えるような気がします。
続く橋本選手、北園選手を勇気づける気迫のこもった演技に大いに期待しています。
2021全日本種目別選手権では冒頭に「ブスナリ(F)」を取り入れたDスコア6.6の構成を実施しており、種目別決勝進出はもちろんですが試合展開によってはメダルの可能性もあると思っています。

■平行棒

技順グループ
技と技の内容(通称など)難度
1後ろ振り(腕支持)上がり前方屈身宙返り支持(ホンマ、ソニック)
D
2ヒーリー:後ろ振り片腕支持1回ひねり支持D
3棒下宙返り1/2ひねり倒立E
4棒下宙返り倒立D
5前方開脚5/4宙返り開脚抜き腕支持(爆弾カット)D
6
バブサー
倒立から振り下ろし懸垂前振り上がり開脚抜き、
伸身かつ水平位で懸垂
E
7ティッペルト
倒立から伸膝で振り下ろし懸垂前振り上がり開脚抜き倒立
D
8前振り1/4ひねり単棒横向き倒立(Dツイスト)D
9単棒横向き前方浮腰上がり脚前挙支持経過横向き倒立C
10前方かかえ込み2回宙返り1/2ひねり下りF
Dスコア:6.3(F1 E2 D6 C1)
Eスコア:8.266
得点:14.566
下り技の「前方かかえ込み2回宙返り1/2ひねり下り」ですが実施し始めたころは脚が開いていたのですが、今ではしっかりと閉じられおり素晴らしいです。
着地まで狙いに行く演技に期待しています。

・谷川航選手
wataru
特に前方系の技の着地の強さが光る24歳の谷川航選手(セントラルスポーツ)です
特に跳馬の「リ・セグァン2:前転跳び前方屈身2回宙返り1/2ひねり(屈身ドラグレスク)」で着地まで狙いに行く実施に大きな期待がかかります。
注目種目は跳馬と平行棒です。

■跳馬:種目別決勝で金メダルを取る可能性あり

リ・セグァン2:前転跳び前方屈身2回宙返り1/2ひねり(屈身ドラグレスク)
Dスコア:6.0
Eスコア:9.533
得点:15.533
谷川航選手と言えば着地まで狙いに行く「リ・セグァン2」です。
団体戦はもちろん種目別決勝でも最高の「リ・セグァン2」を見せてくれることに期待しています。


ロペス:側転跳び1/4ひねり前方伸身宙返り1/2ひねり(伸身カサマツ跳び)2回ひねり
Dスコア:5.6
Eスコア:9.200
得点:14.800
2本目はおそらく「ロペス」です。
入りの時に脚が閉じられているのが素晴らしいです。

6.0の技で着地を止められる可能性が一番高い選手で「リ・セグァン2」の着地次第では種目別決勝での金メダルも大いにあり得ると思います。

■平行棒

技順グループ
技と技の内容(通称など)難度
1後ろ振り(腕支持)上がり前方屈身宙返り支持(ホンマ、ソニック)
D
2ヒーリー:後ろ振り片腕支持1回ひねり支持D
3前振り(腕支持)上がり1/2ひねり倒立:アームツイスト
E
4棒下宙返り1/2ひねり倒立
E
5棒下宙返り倒立
D
6モイ:懸垂前振り上がり支持C
7バブサー
倒立から振り下ろし懸垂前振り上がり開脚抜き、伸身かつ水平位で懸垂
E
8ティッペルト
倒立から伸膝で振り下ろし懸垂前振り上がり開脚抜き倒立
D
9前方開脚5/4宙返り開脚抜き腕支持:(爆弾カット)D
10前方かかえ込み2回宙返り1/2ひねり下りF
Dスコア:6.4(F1 E3 D5 C1)
Eスコア:8.433
得点:14.833
平行棒はチームで一番Dスコアが高いので着地まで狙いにいく演技を見せてくれると思います。

・北園丈琉選手
takeru
2021全日本個人総合選手権決勝の鉄棒の負傷から奇跡の巻き返しを見せて見事に五輪代表の座を獲得した18歳の北園丈琉選手(徳洲会体操クラブ/清風学園)です。
Dスコア36.1と個人総合でメダルを狙うには厳しいスコアに見えますが各種目の実施が素晴らしいので、つり輪が演技できるところまで怪我が回復すればメダルを狙いに行けると思います。
注目種目はゆか、あん馬、跳馬、平行棒、鉄棒です。
つり輪の演技ができれば「後方伸身2回宙返り2回ひねり下り(F):伸身新月面宙返り下り」の実施は世界トップクラスだと思います。

■ゆか

技順グループ
技と技の内容(通称など)難度組み合わせ加点
1前方屈身2回宙返り1/2ひねり
F

2

ロンダート~後転とび~
後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり:(新月面宙返り)

E

3前方伸身宙返り2回半ひねり E
4
ロンダート~
後方伸身宙返り1回半ひねり

C

5+前方伸身宙返り2回ひねりD0.1
6フェドルチェンコ:下向き(ロシアン)1080°転向C
7マンナ
脚上挙支持:脚が水平、2秒
C
8
ロンダート~
後方伸身宙返り2回半ひねり

D

9+前方伸身宙返り1回ひねりC0.1
10
ロンダート~後転とび~
後方伸身宙返り3回ひねり

D

Dスコア:6.2(F1 E2 D3 C4 CV:0.2)
Eスコア:8.233
得点:14.433
前方2回宙返り系と後方2回宙返り系を取り入れて、ひねりも得意と万能さを見せた6.2の構成です。

■あん馬

技順グループ
技と技の内容(通称など)難度
1逆交差1/4ひねり1ポメル上倒立経過、反対の腕で下ろして逆交差入れ支持:逆交差(セア)倒立
D
2フクガ(チェコ式ケーレ):両ポメル上で下向き180°転向B
3アイヒホルン
横向き開脚旋回1回ひねり移動(2回以内の旋回で逆馬端へ移動し再び戻る)
E
4横向き開脚旋回1回ひねり(2回以内の旋回で):横向き開脚旋回シュピンデルD
5開脚シバド移動:縦向き開脚旋回後ろ移動3/3部分(1馬端~3あん部馬背~5馬端)
E
6縦向き開脚旋回1回ひねり(2回以内の旋回で):縦向き開脚旋回シュピンデルD
7開脚マジャール移動:縦向き開脚旋回前移動3/3部分(1馬端~3あん部馬背~5馬端)
E
8ウルジカ2:開脚旋回1回ひねりをしながら縦向き後ろ移動3/3部分(2回以内の旋回で)
1馬端~3あん部馬背~5馬端
E
9縦向き開脚旋回前移動1/2部分B
10下向き逆移動(逆リア)180°転向倒立3/4(270°)ひねり3/3部分移動下りD
Dスコア:6.0(E4 D4 B2)
Eスコア:8.733
得点:14.733
開脚旋回を多く取り入れた構成で開脚シバド~縦向き開脚旋回シュピンデル~開脚マジャール~ウルジカ2の流れは北園選手独特のものであん馬での見せ場と言えると思います。
Dスコアは6.0ですがEスコアは8点台後半を狙える力があり、特に開脚旋回の質は一級品だと思います。

■跳馬

ヨー2:前転跳び前方伸身宙返り2回半ひねり
Dスコア:5.6
Eスコア:9.100
得点:14.700
内村航平選手から「ただ手を付けるだけではなく、小指側から付けていくイメージで」とのアドバイスを受けてから実施が本当に良くなったという逸話がある北園丈琉選手の「ヨー2」です。
着地まで狙いにいけるのでピタリと止めた実施に期待しています。

■平行棒

技順グループ
技と技の内容(通称など)難度
1後ろ振り(腕支持)上がり前方屈身宙返り支持(ホンマ、ソニック)
D
2ヒーリー:後ろ振り片腕支持1回ひねり支持D
3棒下宙返り1/2ひねり倒立E
4棒下宙返り倒立D
5ササキ:前方開脚5/4宙返り開脚抜き直接懸垂E
6前振り1/2ひねり倒立:(ツイスト)
C
7後方車輪倒立:ケンモツ
C
8ティッペルト
倒立から伸膝で振り下ろし懸垂前振り上がり開脚抜き倒立
D
9バブサー
倒立から振り下ろし懸垂前振り上がり開脚抜き、
伸身かつ水平位で懸垂
E
10前方かかえ込み2回宙返り1/2ひねり下りF
Dスコア:6.3(F1 E3 D4 C2)
Eスコア:8.600
得点:14.900
棒下宙返り系のスムーズさと国内ではあまり実施例がない「ササキ」が注目ポイントです。
実施が素晴らしいので14点台後半の得点が期待できます。

■鉄棒

技順グループ
技と技の内容(通称など)難度組み合わせ加点
1

ヤマワキ(伸身コスミック):後ろ振り上がり伸身閉脚とび越し1/2ひねり懸垂

エンドー:前方開脚浮腰回転倒立
D

B

2アドラー1/2ひねり倒立:前方浮腰回転振り出し1/2ひねり倒立D
3カッシーナ:伸身コールマン
バーを越えながら、後方伸身2回宙返り1回ひねり懸垂
G
4コールマン
バーを越えながら、後方かかえ込み2回宙返り1回ひねり懸垂
E
5倒立から後方浮腰回転後ろ振り出し順手背面懸垂C
6順手背面車輪:(チェコ式車輪)D
7ケステ:順手背面懸垂前振り上がり後方浮腰回転倒立C
8伸身トカチェフ:懸垂前振り伸身背面とび越し懸垂D
9トカチェフ:懸垂前振り開脚背面とび越し懸垂C
10後方伸身2回宙返り2回ひねり下り:ワタナベ(伸身新月面宙返り下り)E
Dスコア:6.2(G1 E2 D4 C3)
Eスコア:8.433
得点:14.633
18歳の若さで「カッシーナ」を実施出来るのは驚異的です。
Dスコア6.2の構成を確実に実施し、着地を決めてもらいたいです。